2016.06.10 18:00開始 at 西武プリンスドーム

埼玉西武
○1x-0
●中日 ※延長12回
【勝利投手】武隈(2勝1敗0S)
【セーブ】増田(3勝2敗10S)
【敗戦投手】田島
(2勝1敗3S)



このゲーム先発したドラフト1位、多和田真三郎投手ですが5回目の先発登板にしてようやく1軍のマウンドにアジャストしてくれたのでしょうか。このゲームでは8イニングを投げて107球、被安打3、与四死球2で無失点という素晴らしい結果になりました。勝ちがつかなかったのは非常に残念でしたが、高く評価するべきピッチング内容であったと思います。もちろんドラゴンズ打線も3番大島選手から5番ナニータ選手までを止めてしまえば機能しないようなメンバーで組んでいたと言われればそれまでなのですが、それを差し引いてもこのゲームでは多和田真三郎投手のピッチングに尽きると思います。
ではこれまでのこのゲームでの多和田真三郎投手のピッチング、どこが違うかといえば常に「ストライク先行」であったこと、関連しますが高めに抜けるボールが非常に少なかったこと、そして8イニングで8個の奪三振といえるでしょう。
ますストレートですがこのゲームでは常に143km/h前後、時々140km/h後半の球速で安定しており、変に遅いボールや力んだボールがありませんでした。低い姿勢から柔軟性を使って投げ込むピッチングフォームができていましたし、ようやく本来の多和田真三郎投手のボールが見えたと思います。

序盤はこの素晴らしいストレートを使って、ストレートで押して行くピッチングでした。しかし2巡目以降になる4回くらいからだったでしょうか、ストレートに加えてスライダーの割合を炭谷銀仁朗捕手主体でしょうか、徐々に増やしていったように見えます。そしてこのスライダーが特に右打者に対して素晴らしいキレを見せていました。このスライダーでかなりの空振りを奪ったように思います。例えば6回表の先頭打者であった工藤選手に対してはスライダー4球連投で空振り三振を奪ったりとこのゲームでの唯一のピンチと言っていい7回表2死1塁2塁での堂上選手との対戦の場面でも初球にアウトローのストレートを見せたあとは4球連続スライダーでセカンドゴロに打ち取るなど、ゲーム中盤から後半はスライダーを中心に配球するように組み立て、この部分は炭谷銀仁朗捕手の巧みなリードもあるでしょう。

不思議なことにこのゲーム、この他にカーブやフォークボールも投げていましたが、このゲームでは8割方ストレートとスライダーの2種類の球種で8イニングを投げたことになります。絶対的なウィニングショットはなく、ストレートとスライダーのコンビネーションで抑えこんでいきました。
ピッチングフォームとしてもリリースポイントが打者に近いため、抜けるボールさえなければ145km/hのストレートでも相当な球速に打者としては感じるでしょう。このことから被安打はナニータ選手に2本と堂上選手に1本いずれもシングルヒット(うち1本は内野安打)でした。ナニータ選手は絶好調であり、長打だけは打たれまいと丁寧に低めを突いていました。その結果シングルヒットであればOKというピッチングで、ナニータ選手に2本打たれましたが、これは全く問題ありません。次の佐野泰雄投手もナニータ選手をどう抑えていか、ポイントでしょう。
打線の援護さえあれば、勝利投手になれました。ただこのゲームのような内容をピッチングを続けてくれればプロ初勝利も近いと思いますので、次回は打線の援護に期待します。ナイスピッチングでした。

さて攻撃陣ではドラゴンズのバッテリーが相当ライオンズの各打者を研究しているなと感じました。6回終了時までで森友哉選手が2安打、炭谷銀仁朗選手が1安打の合計3安打で、6回までは秋山翔吾選手、エルネスト・メヒア選手、中村剛也選手、浅村栄斗選手が完全に抑えこまれて、四球は取っていたものの、ヒットは12回の秋山翔吾選手のサヨナラタイムリーヒット1本のみでした。それでも投手陣が12回を完封し、1点で勝利を収めたゲームです。
やはり死球の影響で欠場した栗山巧選手の影響は大きく、つながりという意味ではこのゲームでは不足していたのかなと感じます。栗山巧選手がしっかりと繋いてくれれば、もしかしたら多和田真三郎投手に勝ちがついたかもしれません。
現状4番中村剛也選手に全く当たりが出ませんし、甘いボールも簡単に打ち損じてしまっている状態です。よって4番で完全に打線が分断されている状態の今、上位打線の一角である栗山巧選手のスタメン落ちは痛いとところです。中村剛也選手関しては前にも書いたとおり、打順の降格はありませんから、スタメンを外れるか、4番を打ち続けるかのどちらかで、そこは本人と首脳陣が話し合い決めれば良いと考えています。ただ打撃不振の一言で片付けられる状態ではなく、どこかを痛めながら出場しているのではないかと心配をしています。

さて上に名前を挙げた上位打線の他に、ドラゴンズは金子侑司選手の徹底的にマークしていました。これまでも書いてきているように、特に交流戦に入ってからの金子侑司選手の活躍は素晴らしく、交流戦で2位に付けている立役者の1人と言っても過言ではない働きぶりです。ですのでドラゴンズのスコアラーはその情報をしっかりと共有し、金子侑司選手の苦手とするコースや現状ヒットにしているコースを徹底的に洗い出して攻め込んでいました。この辺りの徹底ぶりは落合博満GMがしっかりとスコアラーに指示を出しているのでしょう。
これまで高めのストレートやインコースをしっかりとヒットにしてきた金子侑司選手に対して、2回裏2死満塁のチャンスの打席のようにアウトコースの変化球を連投したり、初球にインコースのストレートを配球してきたりと、かなりマークされてきているように感じます。金子侑司選手が止められてしまえば、ライオンズの得点能力が低下してしまうことにもあるでしょうから、次のゲーム以降どう変わっていくかが楽しみです。

想像とは違い、スコアレスで12回まで進んだゲームは12回裏2死1塁3塁の場面で秋山翔吾選手が決めてくれました。相手投手はここまで防御率0.28を誇る田島投手ですから、回跨ぎとはいえよく打ってくれたと思います。今シーズン初めて田島投手に負けをつけることができました。
この12回裏はゲームを決めた秋山翔吾選手はもちろん素晴らしいのですが、先頭打者として代打出場した上本達之選手を影のヒーローに推したいと思います。代打で出場してきた上本達之選手に対して、田島投手は138km/hのストレートでカウントを取りに来ました。そのボールをしっかりと叩きライト前ヒットを打ち、ゲーム展開をライオンズに寄せてくれたバッテイングだと思います。田島投手も回跨ぎでボール先行させたくない場面ですから、カウントを取りに来たのでしょう。そこを逃さずライト前へ運んだ上本達之選手がサヨナラ勝ちを呼び込んだ立役者と言えると思います。

もちろんこのゲームでは登板した投手陣全員が本当によく投げてくれましたし、秋山翔吾選手もよく決めてくれた。いい形で初戦を取れましたので、次も勝ち4カード連続の勝ち越しを決めて貯金を作りたいところですから、期待したいと思います。


さてこのゲームのヒーローは
・ゲームを決めたサヨナラ打:秋山翔吾選手

でしょう。


※11日からまたゲームビューをお休みしたいと思います。別の話題を更新していきたいと思いますのでおつきあいお願いいたします。



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